
海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 特許法101条にもとづく特許主題適格性の審査について審査官に対する覚書を発行
米国特許商標庁(USPTO)の特許局副局長は、2025年8月4日、審査官に対し、特許法101条にもとづく特許主題適格性の審査についての覚書を発行しました。この覚書は、特許主題適格性の審査を多く扱う審査部門であるTC 2100(コンピュータアーキテクチャ、ソフトウェア、情報セキュリティ)、TC 2600(通信)、TC 3600(電子商取引)の審査官に宛てられています。 覚書は、新たな実務や手続を示すものではなく、特許審査便覧(MPEP)などに示された既存指針の要点を説明し、審査の整合性を確保することを目的としています。
2.米国 特許審判部での審理における諸手続を明確化する通知を相次いで発行
米国特許商標庁(USPTO)は、2025年7月18日から7月31日にかけて、特許審判部(PTAB)での審理における諸手続を明確化するための通知を相次いで発行しました。通知は、特許審判部における口頭審理を対面形式に戻すこと、特許再審理手続について申請日の通知発行期限の明確化および最終決定の内容の明確化、当事者系再審理(IPR)手続の申請書記載要件の厳格運用に関するものです。
3.米国 意匠特許出願の早期審査制度を廃止
米国特許商標庁(USPTO)は、2025年8月14日付け連邦官報に、意匠特許出願の早期審査制度(expedited examination)の廃止し、特許規則(37 CFR)から同制度に関する条項を削除することを公示しました。この規則改正は、同日に施行されました。
4.欧州 拡大審判部が補正後の請求範囲に明細書の記載を合致させる適合化手続の妥当性を審理
欧州特許庁(EPO)拡大審判部は、2025年7月29日、補正後の請求範囲に明細書の記載を合致させる手続(adaptation:適合化)の妥当性に関する技術審判部からの質問付託を受理しました。拡大審判部は、付託事件G 1/25(Hydroponics=水耕栽培)として審理を行います。また、EPO長官は、2025年8月4日、拡大審判部による審理係属中の適合化手続の取扱について通知しました。
5.欧州 電子出願システムや電子出願書式などの変更に関する決定および通知を公示
欧州特許庁(EPO)は、2025年7月31日付け公報(OJ)に、電子出願システムの一部廃止や出願書式の一部変更などに関する決定および通知を公示しました。また、2020年5月から試行中である欧州特許のDOCX形式電子出願に関する要件緩和についての通知も併せて公示しました。
6.モンテネグロ 欧州特許有効化時の翻訳提出に関するロンドン協定に加盟
モンテネグロは、2025年8月1日、欧州特許を欧州特許条約(EPC)加盟国などの権利として有効化する際の翻訳文提出に関するロンドン協定に加盟し、23番目の加盟国となりました。
7.中国 不正競争防止法を改正
中国全国人民代表大会(全人代)は、2025年6月27日、中国第14期全人代常務委員会第16回会議で不正競争防止法改正草案を可決し、2025年10月15日から施行する旨の主席令(第50号)を公布しました。
8.中国 「商標登録出願の早期審査に関する弁法」を改正
国家知識産権局(CNIPA)は、2025年7月18日、「商標登録出願の早期審査に関する弁法」の改正を公布し、即日施行しました。今回の改正は、審査のプロセスを最適化し、国家の利益、社会公共の利益、及び重要な地域の発展に関わる商標登録の効率を向上させることを目的としています。
9.英国 英国最高裁判所判決に従った商標審査に関する新たな実務指針を公示
英国知的財産庁(UKIPO)は、2025年6月27日、SkyKick UK Ltd vs Sky Ltd事件における英国最高裁判所の判決を受け、商標の審査に関する新たな実務指針(Practice Amendment Notices (PAN) 1/25)を公示しました。今回の通知により、審査官は指定商品・役務の記載が「明白かつ自明に広範」であるかどうかを積極的に検討することになります。指定商品・役務の記載がかなり広範であると判断された場合、悪意に基づく拒絶理由が通知されます。本指針は即日施行されました。
10.インド 請求項を「治療方法」から「製品(医薬品)」に変更する補正が適法か否かについて判決
インド マドラスおよびデリー高等裁判所(マドラス/デリー高裁)は、2025年3月から4月にかけて、請求項を「方法(医薬品を用いた治療方法)」から「製品(医薬品)」に変更する補正について、補正前後の実質的範囲にもとづいて、インド特許法59条(1)のもとで補正要件違反となる場合とならない場合の判決を下しました。
11.シンガポール 特許/意匠/商標などの手続に関する庁手数料の一部を改定
シンガポール知的財産庁(IPOS)は、2025年7月21日、特許/意匠/商標などの手続に関する庁手数料の一部改定(Circular No. 3/2025)を公示しました。改定手数料は、原則、2025年9月1日から適用されます。
12.チリ 知的財産関連の国際分類に関する諸条約に加盟
チリ政府は、2025年7月12日、特許・意匠・商標などの国際分類に関する諸条約への加盟書を、世界知的所有権機関(WIPO)に寄託しました。
13.バミューダ 2023年商標法を施行
バミューダ政府は、2025年7月28日付け官報に、2023年商標法を2025年8月1日に施行する旨の通知を公布しました。また、同日付で、手数料規則を含む関連規則を施行することも公示しました。
14.国際出願 手数料を改定
日本特許庁(JPO)は、2025年9月1日、国際出願手数料の改定を公表しました。改定手数料は、値上げになり、項目毎の基準に従って2025年10月1日から適用になります。
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