
海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 電子出願システムへの自由なアクセスを禁止するセキュリティ強化策を実施
米国特許商標庁(USPTO)は、2025年9月2日、特許出願およびその他手続書類の電子提出を行うためのシステム(Patent Center)について、本人認証済のアカウントからのアクセスに制限するセキュリティ強化策をすべてのユーザに対して適用することを通知しました。 この措置は2025年9月11日より開始され、アカウントを持たない者は、これまで自由に利用できていた機能を含め、当該システムへの一切のアクセスができなくなりました。
2.米国 特許審査官の団体交渉権を排除する大統領令と特許審査官労働組合の反発
米国連邦政府は、2025年8月28日、米国の国家公務員の団体交渉権を権利として認める規定(合衆国法典 Title 5 政府組織及び職員 71条)の対象から米国特許商標庁(USPTO)の特許局の職員(特許審査官など)を除外する大統領令を発しました。これに対し、特許審査官などが加入する労働組合(Patent Office Professional Association : POPA)は、2025年9月2日、大統領令が違法であることの確認と執行差止を求める訴訟をワシントンD.C.連邦地裁に提起しました。
3.米国 連邦巡回区控訴裁判所が意匠特許の権利解釈に審査履歴禁反言の法理を適用
米国連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)は、2025年7月17日、意匠特許の侵害問題を扱った"TOP BRAND vs. COZY COMFORT COMPANY"事件で、審査履歴にもとづく禁反言の法理(doctrine of prosecution history disclaimer)を意匠特許に適用した権利解釈を行い、非侵害の判決を下しました。
4.米国 行政または司法機関で既に審理がなされた特許請求項の再審理に関する覚書を発行
米国特許商標庁(USPTO)は、2025年9月16日、特許審判部(PTAB)に対し、2013年改正特許法(AIA)にもとづく特許付与後の再審理申立がなされた請求項について、過去にUSPTOや他の行政または司法機関による審理がなされていた場合の取扱を明確にする覚書を発行しました。
5.欧州 欧州特許出願・PCT移行出願などにおけるカラー/グレースケールの図面の取扱を明確化
欧州特許庁(EPO)は、2025年9月5日、カラー/グレースケールの図面を含む出願を可能とすることについて、欧州特許出願(Euro-direct出願)/国際特許出願(PCT出願)/PCT出願の欧州段階移行出願(Euro-PCT出願)におけるカラー/グレースケールの図面の取扱を明確化する通知を出しました。
6.欧州 市販製品にもとづく新規性/進歩性判断の問題に絡んで審査停止となった案件の手続を再開
欧州特許庁(EPO)は、2025年8月29日付け公報に、市販製品の内部情報も新規性/進歩性判断のための技術水準になりえるとの拡大審判部審決(G 1/23)が下されたことに対応して、当該問題に絡んで審査部および異議部で審査を停止していた案件について手続を再開する旨の通知を公示しました。
7.中国 専利出願の拡張マークアップ言語(XML)形式による電子提出の促進策を実施
中国国家知識産権局(CNIPA)は、2025年5月26日、専利出願(発明・実用新案・意匠・PCT国内段階移行出願)に係る書類の電子提出について、拡張マークアップ言語(XML)形式による提出の促進に関する通知をしました。この通知の措置は、2025年10月1日以降に出願される専利出願に対して適用されます。
8.台湾 初審実体審査で拒絶された後の再審査を加速する試行プログラムを継続
台湾経済部知慧財産局(TIPO)は、2025年8月25日、発明専利(特許)出願の初審実体審査で拒絶査定された後の再審査について、その審査手続を加速する試行プログラム(AEPRe)の継続を公表しました。
9.インド コンピュータ関連発明の審査についての新たなガイドラインを発行
インド特許意匠商標総局(CGPDM)は、2025年7月29日、コンピュータ関連発明(CRI)の審査についての2025年版ガイドラインを発行しました。これは、CRIの審査手続の明確化と一貫性の確保を目的として従前の2017年版ガイドラインを改訂した、新たなガイドラインになります。本ガイドラインは即日で適用され、特許審査便覧(MANUAL OF PATENT OFFICE PRACTICE AND PROCEDURE)の09.03.05.10項(発明と認められないCRI関連主題)が削除されます。
10.ネパール 商標登録および維持に関する通知
ネパール産業省(DOI)は、2025年8月19日付け全国紙に商標登録および維持に関する通知を掲載しました。
11.タンザニア 義務的な商標登録制度を導入
タンザニア公正競争委員会(FCC)は、2025年9月1日、タンザニア本土へのすべての輸入品について義務的な商標登録制度を導入することを通知しました。この登録制度は2025年12月1日から開始されます。
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