海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 儀式的特許証を全件発行から選択式発行に変更
米国特許商標庁(USPTO)は、2026年2月6日、登録された特許(発明/意匠/植物)の全件について特許権者に自動的に発行していた儀式的特許証を、特許登録料支払時に「発行要」を選択した場合に限って発行する形式に変更することを通知しました。この変更は、2026年3月9日から開始されます。
2.米国 特許権付与後の再審理の決定以降に匿名で出された再審査請求の取扱を明確化
米国特許商標庁(USPTO)は、2026年2月6日、特許審判部(PTAB)における特許付与後の再審理(当事者系レビュー、付与後レビュー)の最終決定の対象となった特許請求項について、匿名で同じ請求項に対し査定系再審査請求(ex parte reexamination)がなされた場合の取扱を明確化する通知を出しました。
3.米国 連邦巡回区控訴裁判所が意匠特許の侵害判断をした事例
米国連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)は、2026年2月6日、身体マッサージ機の意匠特許侵害事件(Range of Motion Products, LLC v. Armaid Company Inc.)における判決において、連邦地方裁判所による「"明らかに異なる"ので非侵害」とした略式判決を支持しました。ただし、このCAFC判決は、3名の判事の合議体の多数意見により決したものです。1名の判事が、"明らかに異なる"の侵害評価手法について、1871年の最高裁判決で示された"実質的類似"の侵害評価手法を採るべきとする反対意見を提示しています。
4.欧州 審査ガイドラインなどの2026年改訂版を先行公開
欧州特許庁(EPO)は、2026年2月2日、欧州特許条約(EPC)に基づくEPO審査ガイドライン、国際調査機関としてのEPOの調査および審査指針であるPCT-EPOガイドライン、UP(欧州単一効特許)の取得/維持/管理に関するEPO手続の指針となるUPガイドラインについて、それぞれの2026年改訂版を先行公表しました。改定版は、2026年4月1日に発効となります。なお、2026年4月3日を期限として2026年改訂版に対する意見募集も行われていますが、提出された意見の反映は2027年改訂版になります。
5.欧州 統一特許裁判所の控訴裁判所が進歩性判断のために裁判所が用いるアプローチを明確化
欧州統一特許裁判所(UPC)の控訴裁判所(CoA)は、2025年11月25日付けの2つの最終判決において、UPCが欧州特許の進歩性判断のために用いるアプローチを明確化する判決を下しました。このアプローチは、欧州特許庁(EPO)が進歩性判断で用いる「課題解決アプローチ」と異なります。ただし、判決では、いずれのアプローチも進歩性判断のための指針にすぎずないので、正しく適用される限り、同じ結論が導き出されるとしています。
6.欧州 補正後の請求範囲に一致するよう明細書の適合化を求める手続の妥当性について意見書を提出
欧州特許庁(EPO)長官は、2026年1月29日、補正後の請求範囲と明細書の内容との不一致をなくすように明細書の補正を求める手続(適合化手続)の妥当性を審理する拡大審判部付託事件(G 1/25: Hydroponics=水耕栽培)において、意見書を提出しました。
7.中国 最高人民法院が複合優先権主張の有効性の判断に関し指針を示す判決
中国最高人民法院は、2025年7月31日、複合優先権主張(複数の第一国特許出願の優先権を主張)をする中国発明専利について、請求項毎の部分的優先権の有効性判断の指針となる判決を下しました。
8.英国 最高裁判所が「コンピュータプログラムそれ自体」の主題適格性判断手順を変更する判決
英国最高裁判所(UKSC)は、2026年2月11日、人工ニューラルネットワーク(ANN)を利用する発明を「コンピュータプログラムそれ自体」として主題不適格とした控訴院の判決を無効とし、審理を差し戻す判決を下しました。UKSCは、判決において、英国におけるコンピュータプログラム関連発明の主題適格性判断手順であったAerotelアプローチ(4段階テスト)を棄却し、欧州特許庁(EPO)の拡大審判部審決(G 1/19)に示されたアプローチを採用することを判示しました。
9.ザンビア 新商標法を施行
ザンビア特許企業登録局(PACRA)は、2025年12月31日、商業・貿易・産業大臣が行政委任立法2025年86号(Statutory Instrument No. 86)に署名し、新商標法(Trade Marks Act No. 11 of 2023)が施行されたことを公表しました。新商標法は、2023年12月26日に議会で可決されていましたが、施行されていませんでした。なお、新たな施行規則は、現時点で、改正案が公表されている状況です。新たな施行規則の発効までは、旧商標法の施行規制のもとでの書式や庁手数料が引き続き適用されます。
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