海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 特許協力条約にもとづく国際出願の米国通常移行出願を対象とした新たな試行プログラムを開始
米国特許商標庁(USPTO)は、2026年4月9日付け連邦官報に、特許協力条約にもとづく国際出願(PCT出願)の米国通常移行出願について、USPTOが自身の裁量で選択した通常移行出願の出願人に対して国際段階の調査/審査による成果物にもとづき審査の継続を望むか否かを問う「PCT情報による審査要求試行プログラム(PCT Informed Examination Request Pilot Program; PIER試行プログラム)」を実施することを公示しました。USPTOによる米国通常移行出願の選択は、2026年4月9日から開始され、2027年4月9日まで続けられる予定となっています。
2.米国 特許の査定系再審査について再審査開始可否の命令前の新たな手続を設定
米国特許商標庁(USPTO)は、2026年4月1日、特許の査定系再審査(Ex Parte Reexamination)について、再審査請求が行われてから再審査手続の開始可否命令が出されるまでの間に、特許権者による命令前書面(pre-order paper)の提出機会を設けることを通知しました。この新たな手続は、再審査請求が2026年4月5日以降に請求される査定系特許再審査に適用されます。
3.米国 先行技術情報の開示を緩和する「関連先行技術へのアクセスイニシアチブ」の適用範囲を拡大
米国特許商標庁(USPTO)は、2026年3月23日、関連先行技術(RPA)へのアクセスイニシアチブ(Access to Relevant Prior Art Initiative)に関し、その第一段階として進めている「親出願において列挙された先行技術情報の継続性出願(継続出願、分割出願、一部継続出願)への自動的インポート」の施策について、この施策を適用するUSPTO内の特許審査部門を拡大すると発表しました。
4.米国 特許出願の審査着手前の人工知能による先行技術調査試行プログラムへの参加手数料を撤廃
米国特許商標庁(USPTO)は、 2026年3月23日、特許出願の審査着手前の人工知能による先行技術自動調査試行プログラム(Artificial Intelligence Search Automated Pilot Program; ASAP)について、試行プログラムへの参加申請に対して徴収してきた手数料を撤廃することを通知しました。手数料の撤廃は、2026年3月23日以降に提出される参加申請に適用されます。なお、この試行プログラムの期間は、2026年4月20日までとなっていましたが、2026年6月1日までに延長されました。
5.米国 小規模/極小規模事業体の減額手数料適用の際の注意を喚起
米国特許商標庁(USPTO)は、2026年3月17日、小規模/極小規模事業体のための庁手数料の減額措置について、小規模/極小規模事業体の資格を主張して減額手数料の支払を行う前に、資格の適格性に関する規則およびその他の情報を確認し、確認した記録を残すべきとの注意を喚起しました。
6.米国 特許審判部手続における事例をフィードバックする特許審査官向け月例研修シリーズを立ち上げ
米国特許商標庁(USPTO)は、2026年2月26日、高品質の審査および潜在的な審査誤りの両方の事例を審査実務にフィードバックする審査官向けの月例研修シリーズ 「特許を最適化するために成果から学ぶ(Learning from Outcomes to Optimize Patents; LOOP)」を立ち上げることを発表しました。
7.米国 コンピュータによって表示される意匠の出願の審査に関する補足ガイダンスを公表
米国特許商標庁(USPTO)は、2026年3月13日付け連邦官報に、コンピュータにより表示されるインターフェイスやアイコンなどの意匠特許出願の審査に関する補足ガイダンスを公示しました。物理的なディスプレイへの表示の図示を要件とする従来のガイダンスが仮想現実やホログラムといった新たな表示形態の意匠出願のための柔軟性に欠けるとの指摘があり、改善が図られました。補足ガイダンスは、2026年3月13日に発効し、遡及して適用されます。なお、並行して、2026年5月12日まで、この補足ガイダンスに対する意見募集も行われます。
8.米国 意匠の創作と保護における生成人工知能の役割を議論した内容を公表
米国特許商標庁(USPTO)は、2026年3月31日、意匠特許に関し、意匠の創作と保護における生成人工知能(生成AI)の役割について議論した内容を、知的財産政策報告として公表しました。
9.米国 建国250周年を記念するデザインの電子特許証および商標登録証の発行を開始
米国特許商標庁(USPTO)は、2026年3月17日および24日、米国が建国250周年を迎えることを記念して、"250"のロゴをあしらったデザインの電子特許証および商標登録証の発行を開始することを通知しました。
10.欧州 DOCX形式文書の電子提出を正式に認める通知を公示
欧州特許庁(EPO)は、2026年3月31日付け公報(Official Journal)に、EPOに対する文書の電子提出形式として、DOCX形式での提出を正式に認める旨の通知を公示しました。2026年4月1日より、欧州特許条約(EPC)のもとでの手続、および、単一効欧州特許(UP)に関する手続の両方においてEPOに提出する文書は、従来のPDF形式に加え、DOCX式でも電子提出することが可能になります。
11.欧州 欧州連合意匠法の改正規則のフェーズ2を実施するための細則を公布
欧州委員会(EC)は、2026年3月19日付け欧州連合官報において、欧州連合(EU)意匠(旧共同体意匠)に関する改正規則(Regulation (EU) 2024/2822)のフェーズ2の適用開始のために、その細則を定めた実施規則と委任規則を公布しました。これら実施規則と委任規則は、2026年7月1日に施行され、同日から改正規則のフェーズ2の適用が開始されます。
12.韓国 半導体分野における特許審査実務ガイドラインを公表
韓国知的財産処(MOIP)は、2026年3月9日、特許明細書の記載要件(実施可能要件)/特許請求範囲の記載要件/進歩性などの特許要件について、半導体分野の特許審査で頻繁に発生する類型を抽出し、それらに対する実際の審査事例にもとづくガイドラインを公表しました。ガイドラインには、製品を製造方法により特定する"product by process"の請求項の特許性判断も盛り込まれています。MOIPは、本ガイドラインを、EUV(極端紫外線)露光プロセス、非晶質炭素ハードマスク、広帯域幅メモリ(HBM)、次世代人工知能半導体など、微細化・集積化が進む半導体産業の特性を反映した特許審査に対する要望に応えて発行するとしています。
13.台湾 特許年金の減免申請手続を簡略化
台湾経済部知慧財産局(TIPO)は、2026年3月4日、所定の要件を満たす特許権者に対する特許年金の減免について申請手続を簡略化したと公表しました。簡略手続は、2026年1月1日から実施されています。
14.台湾 2024年に改定された専利審査指針の英訳版を公表
台湾経済部知慧財産局(TIPO)は、2026年3月24日、専利審査指針の内の2024年に改定された部分である、第二編の第一章(明細書、請求範囲、要約、および図面)、第三章(特許要件)、第十一章(特許期間延長)の英訳版を公表しました。
15.ドイツ 標準必須特許による差止などの請求に対する独占禁止法上の抗弁を認めない判決
ドイツ連邦通常裁判所(BGH)(民事/刑事事件の最上級裁判所)は、2026年1月27日、公正、合理的かつ非差別的条件(FRAND条件)でライセンス許諾する用意があることを宣言している標準必須特許(SEP)の侵害訴訟において、被告(SEP利用者)による「SEP権利者が差止などを請求する行為は市場の支配的地位の濫用であり、独占禁止法に違反する」との抗弁を退ける判決を下しました。
16.シンガポール 特許/商標の手続に関する庁手数料の一部改定(続報)
シンガポール知的財産庁(IPOS)は、2025年の庁手数料の一部改定(Circular No. 3/2025)において2026年4月1日から適用開始としていた改定料金の適用を、開始しました。
17.インドネシア 特許出願に関する特許法施行規則を改正
インドネシア法務大臣は、2026年2月23日、インドネシア特許法(2016年法律 第13号、何回かの一部修正あり)において大臣規則で定めるとされている特許出願に関する事項について、旧規則を廃止し、新たな規則として「特許出願に関する法務大臣規則 No. 6/2026」を公布しました。 同規則は、同日に施行され、同日以降にインドネシア知的財産総局(DJKI)に提出された出願に適用されます。
18.モルドバ 欧州特許条約への加盟書を寄託
モルドバ国家知的財産庁(AGEPI)は、 2026年3月25日、欧州特許条約(EPC)への加盟についての議会の承認を経て、加盟書を寄託したことを公表しました。欧州特許庁(EPO)からも同様の発表がありました。モルドバについて、EPCは2026年6月1日に発効し、40番目の加盟国になります。
19.ブラジル 特許出願の取下/放棄や特許権の放棄などの手続を明確化する新規則を施行
ブラジル産業財産庁(INPI)は、 2026年3月6日付の産業財産公報(RPI No. 2879)において、特許出願の取下/放棄、特許権の放棄、および、特許出願の審査中に出された申立の取下に関する具体的な要件や手続を定めた新規則として、規範的政令(INPI/PR/DIRPA No. 01 of March 4, 2026)を公示しました。新規則は、従来にない新たな手続を導入するものではありませんが、INPIが行ってきた実務を統合して正式化することにより、出願人および特許権者に対し、手続の明確性、透明性、および、法的確実性を高めることを目的として定められました。新規則は、公示と同日に施行されました。
20.ブラジル 特許出願の技術審査プロセスを標準化/正式化した規則を公示
ブラジル産業財産庁(INPI)は、 2026年3月6日付の産業財産公報(RPI No. 2879)において、特許出願の技術審査に関する内部手続を正式化する規範的規則(INPI/PR/DIRPA No. 02 of March 6, 2026)を公示しました。この規則は、INPIの審査官が行う特許出願の技術審査手続の具体的なガイドラインを定めています。INPIにおいて内部的に行われてきた手続を正式に文書化して広く周知することで、出願人などの利用者に対し、技術審査のプロセスをより理解しやすくしています。本規則は、公報での公示を以て発効しています。
21.国際出願 手数料を改定
日本特許庁(JPO)は、2026年4月1日、国際出願手数料の改定を公表しました。改定手数料は、値上げになり、項目毎の基準に従って2026年5月1日から適用になります。国際出願手数料の改定は、本年に入り、2026年1月1日に続いて2回目となります。
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