海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 後の出願日/後で権利期間満了の特許にもとづく自明性二重特許の拒絶を可とする決定
米国特許商標庁(USPTO)は、2026年8月6日、USPTO長官などからなる特許審判部(PTAB)の審決再審理合議体(ARP)は、出願日が先の特許出願が、後の出願日/後で権利期間満了の特許にもとづく自明性二重特許(OTDP)の理由で拒絶できるか否かについて、連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)の既判決を参酌し、拒絶できないとしたPTAB審決を覆す決定を下しました。このARPの決定は既判力を有する決定(precedential decision)に指定されましたが、一方で、OTDP審査の新たな枠組の提案もされています。
2.欧州 新しい欧州連合意匠制度の法的枠組が確立し全面的運用を開始
欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、2026年7月1日、新しい欧州連合意匠(EU意匠)制度に関し、第2段階の法的枠組が確立され、同制度の全面的運用が開始されたことを公表しました。また、EUIPOは、2026年7月28日、新たなEU意匠制度のもとで、動画意匠や三次元意匠の最初のEU意匠登録がなされたことを公表しました。
3.欧州 標準必須特許に関する世界の裁判所の判決を分析した報告書を発行
欧州特許庁(EPO)は、2026年6月24日、標準必須特許(SEP)に関する世界の裁判所の判決を対象とし、SEPの公正/合理的/非差別的(FRAND)ライセンス条件に関する分析を行った結果を報告書として公表しました。具体的には、2013年から2026年3月までの期間にSEPライセンス許諾の問題を扱った米、英、中、印、日、独/蘭/統一特許裁判所(UPC)といった欧州連合(EU)地域の判決が分析されています。
4.欧州 国際特許出願に関する欧州特許庁の電子通信をePCTを介して受領可能にする決定
欧州特許庁(EPO)は、2026年4月30日付け庁公報(OJ EPO 2026, A28およびA29)に、特許協力条約(PCT)にもとづく国際特許出願(PCT出願)に関連してEPOが行う電子通信について、国際知的所有権機関(WIPO)のオンライン国際特許出願・管理システム(ePCT)を介して受領できるようにする長官決定と手続に関する通知を公示しました。この手続は、2026年6月1日から開始されています。
5.欧州 欧州連合知的財産庁が生成AIの責任ある利用についての指針を改定
欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、2026年6月8日、生成人工知能(GenAI)の責任ある利用に関する職員向けの改定指針を通知(Communication No. 1/2026)しました。改定指針は、2023年発行の指針に代わり、「EU AI法」および「欧州委員会によるAIの責任ある利用に関する諸指針」に適合させたものです。
6.英国 主題適格性とその他特許要件の判断手順に関する最高裁判所判決を受けて審査実務を変更
英国知的財産庁(UKIPO)は、2026年7月14日、「コンピュータプログラムそれ自体」の主題適格性とその他の特許要件の判断手順を示した"Emotional Perception"事件の英国最高裁判所(UKSC)の判決を受け、改定された調査/審査実務指針を公表しました。 改定指針は、特に、コンピュータ実装発明に係る特許出願が関係します。
7.フランス 知的財産規則の一部条項を改正
フランス知的財産庁(INPI)は、2026年7月1日、知的財産関連の手続を近代化および簡素化することを主たる目的とした知的財産規則の一部条項を改正する政令(Decree No. 2026-576)について、経済/財務大臣が署名し、公布されたことを通知しました。この改正は、一部の措置を除き、2026年7月2日時点で係属中のすべての手続に適用されます。
8.中国 最高人民法院知的財産法廷による2025年判決の英語版要旨集を公表
中国最高人民法院知的財産法廷(SPC-IPC)は、2026年4月23日、同法廷が2025年に出した判決の英語版要旨集を公表しました。「専利の付与および無効に関する事件」、「専利の帰属および侵害に関する事件」、「新植物品種事件」、「集積回路配置に関する事件」、「技術秘密に関する事件」、「コンピュータソフトウェアに関する事件」、「独占禁止に関する事件」、「手続に関する事件」といった7項目に分け、合計132件の判決についての要旨が掲載されています。
9.中国 製品の全体意匠を完全には開示していない既存意匠の特徴を対比に使用する条件を判示
中国最高人民法院知的財産法廷(SPC-IPC)は、2026年6月10日、意匠専利の無効審判事件において、「対象意匠」と「既存意匠の特徴の組み合わせ」との対比を行うことに関し、「既存意匠の特徴」を組み合わせのために使用する条件を明確にする判決を下しました。SPC-IPCは、この判決の事案分析も公表しています。
10.シンガポール 特許出願および商標出願の加速審査プログラムの参加申請の受付を再開
シンガポール知的財産庁(IPOS)は、2026年8月14日、停止されていた特許出願および商標出願についての加速審査プログラムの参加申請の受付を、2026年9月1日から再開することを通知(Circular No. 3 of 2026, Circular No. 5 of 2026)しました。
11.シンガポール 特許出願の調査/審査報告の請求期限を遅らせる試行措置の期間を延長
シンガポール知的財産庁(IPOS)は、2026年8月12日、特許出願(PCT国内段階移行出願を含む)の調査報告および/または審査報告を求める請求を行うことができる期限を最大18月遅らせることができる試行措置について、試行期間を2027年8月31日まで延長することを通知(Circular No. 4/2026)しました。
12.インドネシア 特許および商標関係の庁手数料を改定
インドネシア知的財産総局(DGIP)は、2026年7月17日、政令No. 30/2026により、DGIPの手数料改定を公示しました。改定は、特許および商標関連の手続に対する手数料が関係し、2026年8月1日から適用になります。
13.ラオス 意匠の国際登録に関するハーグ協定ジュネーブ改正協定への加盟書を寄託
ラオス知的財産局(DIP)は、2026年7月14日、意匠の国際登録に関するハーグ協定ジュネーブ改正協定の加盟書を、世界知的所有権機関(WIPO)に寄託したことを公表しました。
14.サウジアラビア マドリッド協定議定書に加盟
サウジアラビア政府は、2026年7月8日、商標の国際登録に関するマドリッド協定議定書の加盟書を、国際知的所有権機関(WIPO)に寄託しました。サウジアラビアについて、マドリッド協定議定書は2026年10月8日に発効します。
15.エルサルバドル 意匠の国際登録に関するハーグ協定などの諸条約への加盟書を寄託
エルサルバドル政府は、2026年7月7日、意匠の国際登録に関するハーグ協定ジュネーブ改正協定(Geneva Act)、および、各知的財産制度の統一化を図る特許法条約(PLT)、リャド意匠法条約(RDLT)、商標法に関するシンガポール条約(STLT)への加盟書を、世界知的所有権機関(WIPO)に寄託しました。
16.アンゴラ 欧州特許条約にもとづく有効化協定に調印
アンゴラ工業所有権機関(IAPI)は、2026年6月26日、欧州特許庁(EPO)との間で、欧州特許条約(EPC)にもとづく特許有効化協定に調印したことを公表しました。
17.WIPO 標準必須特許の実施料率の価値評価方法に関する報告書を発行
世界知的所有権機関(WIPO)は、2026年5月、標準必須特許(SEP)の公正/合理的/非差別的(FRAND)な許諾料率の評価方法についての解説とその検証を行った結果についての報告書を発行しました。
18.WIPO 特許協力条約にもとづく国際出願の出願人向けガイド日本語電子版の公開を開始
世界知的所有権機関(WIPO)は、2026年7月7日、特許協力条約にもとづく国際出願の出願人向けガイド(PCT出願人ガイド)の日本語電子版の公開を開始したことを公表しました。
19.EAPO 意匠の国際登録に関するハーグ協定ジュネーブ改正協定への加盟書を寄託
ユーラシア特許機構(EAPO)は、2026年7月10日、意匠の国際登録に関するハーグ協定ジュネーブ改正協定への加盟書を、世界知的所有権機関(WIPO)に寄託したことを公表しました。
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